現在、岡山理科大学経営学部では、2032年を見据えた中長期的な将来構想として、「岡山理科大学経営学部 AI活用推進ビジョン2032」の策定を進めています。
生成AIをはじめとする人工知能(AI)の急速な進化は、企業経営や地域社会だけでなく、大学教育や研究活動にも大きな変革をもたらしています。
これからの経営学部には、従来の経営学の知識を教授するだけでなく、AIを活用しながら課題を発見・解決し、新しい事業や社会的価値を創出できる人材を育成することが求められています。
こうした時代の変化を踏まえ、経営学部として今後どのような教育・研究・社会連携を展開していくべきか。その方向性を明確にするため、今回のビジョン策定に取り組んでいます。
なお、現時点ではあくまでも「案」の段階であり、現在、経営学部の所属教員から意見を集約しながら、内容の検討を進めています。
基本理念は「AIと経営知の融合」
今回のビジョンでは、2032年に目指す経営学部の姿として、次の理念を掲げています。
「AIと経営知を融合し、地域の新しい価値を創出する経営学部へ」
そして、
「AIで学び、考え、つながり、実践し、未来をつくる。」
という方向性を示しています。
私が特に重視しているのは、AIそのものを学ぶことだけを目的としないという点です。
AIを使って何を実現するのか。
AIによって地域社会のどのような課題を解決できるのか。
そして、AIと人間の創造力を組み合わせることで、どのような新しい価値を生み出せるのか。
こうした問いに向き合い、実践できる経営人材を育成していきたいと考えています。
5つの重点方針
今回のビジョン(案)では、次の5つの重点方針を設定しています。
1.AIを使いこなす経営人材の育成
すべての学生がAIリテラシーと実践的な活用スキルを身につける教育環境を整備します。
専門分野とAIを融合したカリキュラムの構築、PBL(課題解決型学習)・実践型学習の強化、グローバルな視野を持つ人材育成などを進める構想です。
2.教育・研究の高度化と生成AIの活用
授業設計や教材開発へのAI活用を進めるとともに、データ分析、マーケティング、経営戦略などの研究の高度化を目指します。
また、研究と教育をつなぐ実践的な取り組みや、国内外への研究成果の発信も推進します。
3.地域企業・自治体との共創と新事業創出
地域企業のDXやAI導入支援、産学官連携による新規事業創出、学生による地域課題解決型PBLなどを展開します。
地域を教育・研究の実践フィールドと位置づけ、学生、教員、企業、自治体が共に学び、挑戦する仕組みを構築していきたいと考えています。
4.教職員・学部運営のAI活用とDX
AIの活用は学生教育だけにとどまりません。
教員の研究・教育支援、職員の業務効率化、学生支援の高度化など、学部運営そのものの変革にも取り組みます。
AIによって生まれた時間を、学生との対話や新しい教育・研究活動に振り向けられる環境づくりも重要です。
5.責任あるAI活用と社会的価値の創出
AI倫理やガバナンス、情報セキュリティ、個人情報保護などを重視し、責任あるAI活用を推進します。
技術の活用だけでなく、人間中心の視点を大切にしながら、持続可能な社会づくりや地域活性化への貢献を目指します。
2032年に向けた具体的な数値目標
ビジョン(案)では、理念だけでなく、具体的な成果目標(KPI)も設定しています。
- AIリテラシー教育履修率:100%
- 企業・自治体との連携プロジェクト:累計50件
- AIを活用した新規事業・社会実装:累計10件
- 学生のAI活用成果発表:国内外で累計50件
- 教員のAI関連研究成果:累計100件
- 卒業生のAI活用・経営人材輩出:累計1,000人
これらは現時点での目標案であり、今後の検討を通じて調整する可能性があります。
2026年度から2032年度までを段階的な実行期間とし、基盤整備、試行・拡大、全学展開・成果創出、社会的インパクト拡大、成果検証というプロセスを想定しています。
AIを活用した教育と地域共創を実践へ
今回のビジョンでは、構想を具体化するため、5つの重点プロジェクトも提案しています。
- AI経営実践PBLプログラム:生成AIを活用した地域企業・自治体との経営課題解決型プロジェクト
- AI×地域経営研究プロジェクト:観光、スポーツ、ヘルスケア、中小企業支援などを対象とした実践研究
- 生成AI経営実践講座:企業・自治体向けの研修・コンサルティング事業
- AIビジネス・スタートアップ支援:学生・教員・地域による新規事業創出支援
- グローバルAI経営人材育成プログラム:海外大学との共同プログラムや国際PBL
特に、これまで取り組んできたアントレプレナーシップ教育、地域企業との連携、地域課題解決型の実践教育などとAIを組み合わせることで、経営学部ならではの特色を生み出せるのではないかと考えています。
AIの普及によって大学教育のあり方が問われる今だからこそ、大学が地域社会とどのようにつながり、どのような価値を提供できるのかを考えることが重要だと感じています。
現在、所属教員の意見を集約しています
今回ご紹介した「AI活用推進ビジョン2032」は、現段階では正式決定したものではありません。
現在、経営学部の所属教員の皆様から意見を集約しており、教育・研究の実情や今後の展開可能性を踏まえながら、より実効性のあるビジョンへとブラッシュアップを進めています。
大切なのは、ビジョンを策定すること自体ではなく、教職員が方向性を共有し、学生や地域社会とともに具体的な取り組みを積み重ねていくことだと思っています。
そのためにも、多様な専門分野を持つ教員の意見を大切にしながら、実現可能性と将来への挑戦を両立させた構想にしていきたいと考えています。
皆様からのご意見をお待ちしています
大学教育に関わる方々はもちろん、企業経営者、自治体関係者、卒業生、学生、地域の皆様など、さまざまな立場からご意見やアイデアをいただければ幸いです。
「これからの経営学部に必要なAI教育とは何か」
「地域企業と大学がAIを活用してどのような価値を生み出せるのか」
「AI時代に求められる経営人材とはどのような人材なのか」
こうしたテーマについて、ぜひ皆様と一緒に考えていきたいと思います。
今月末(2026年10月末)の正式策定を目指しており、策定後にはあらためてその内容を公表させていただく予定です。
「地域から世界へ。AI×経営×人材育成で社会を動かす。」
2032年の未来を見据えながら、経営学部の新たな可能性を切り拓いていきたいと思います。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
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